産業医の復職判定

主治医と産業医

基準と役割の違い

休職を経験している方は、

主治医と産業医のお世話になる方がほとんどだと思いますが、

この違いをお話していこうと思います。

・主治医

任意の医者で、患者が決められる。

「生活できる状態か」が基準。

薬を処方できる。

・産業医

会社(人数50人以上)が、任命しなければならない。

「仕事できる状態か」が基準。

薬の処方はできない。

休復職に関して、一番の大きな違いは、診断の基準です。

主治医は「生活できる状態か」が基準なのに対して、

産業医は「仕事できる状態か」が基準なのです。

つまり、主治医は、生活できる状態なら、“復職許可”の診断をします。

たとえば、ストレスのかからない状態でも、睡眠がとれるようになったり、

外を出歩けるようになれば、それは“復職許可”となったりします。

医者によって、その詳細な基準は異なりますが、

患者の意向に沿って(患者が「復職したい」と言えば)“復職許可”を出す主治医もいるようです。

“生活できること”が基準のため、

たとえば、昼夜逆転の生活をしていたとしても、

患者本人が生活に困っていなければ、それは“治癒した”と言えるわけです。

一方で、産業医は、仕事できる状態でないと、“復職許可”は出しません。

朝は仕事するために必要な、決まった時間に寝起きしたり、

多少のストレス下にあっても、再発しない対策が取られている必要があります。

…まあ、これは産業医にもよります。

精神科の産業医でもなければ、

このあたりの判断は難しいと言えますし、

産業医と一口にいっても、

主治医レベル(生活できるかどうかが基)の産業医もいるとは思います。

ただ、産業医は、“仕事できるかどうか”が基準のため、

基本的には、その会社の就業状況をよく知ったうえで、判断することが基本となります。

さて、この主治医と産業医の基準の違いによって、何が起こるか…

主治医から“復職許可”が出たのに、

産業医は“復職させてくれない”という事態が起こる可能性があるのです。

復職できない場合は、休職が継続されるわけですが、

でも休職を続けるには主治医の診断書が必要となります。

でも、場合によっては、

主治医が「復職許可を出した」として、

診断書を書いてくれない場合があるのです。

このままですと、傷病手当ももらえず、休職を継続することもできませんので、

このような事態を避けるための方策が必要です。

そのために、自社の産業医の復職許可が厳しい場合には、

主治医にも、そのことを、よく話しておく必要があります。

「うちの会社は、復職について厳しい。

 生活リズムを整えたり、再発防止策をしないと、

 産業医が復職許可を出してくれない。

 そのために、しっかりと治療したい。」と、話しておきていただきたいと思います。

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